坂道ダッシュの有用性をご紹介したい
こんにちは。おつまむです。今回は2020年10月-11月に取り入れていた「坂道ダッシュ」の有用性について、ご説明いたします。
坂道ダッシュには「上り」と「下り」の2種類があり、陸上のトレーニングとして最も有効なのは、短距離・長距離関係なく実は「下り」だと私は思います。
ここでは2種類の坂ダッシュの有用性をご紹介していきますが、こちらでご紹介するのは「下り」ではなく、殆んどが「上り」の坂ダッシュの有用性についてです。また長距離ランナーに向けた話になる事を予めご了承下さい。
坂ダッシュを取り入れようと思っている人や、トレーニングの幅を広げたい方は参考程度に見て頂けたら幸いです。
では坂道ダッシュを行う上での有用性を次からご紹介していきます。
長距離ランナーに坂道ダッシュ(上り)をおすすめする理由1:膝の負担を軽減しながら心配能力を鍛える事ができる
長距離ランナーに坂ダッシュ(上り)をおすすめする一番の理由はこれではないのでしょうか。
長距離ランナーの基本であるランニング。ゆっくりとしたランニングでも、一歩一歩、全体重の衝撃を膝に与える事になります。
ですので、膝を痛めてランニングを辞めるという人も多くいるのではないのでしょうか。また、スピードを上げる長距離走においては、もっと膝にかかる負担が激しくなります。
しかしながら長い距離を走らないと心肺機能は高まりません。ですが上りの坂ダッシュだと、体の真下に着地する訳ではなく、少し手前に足を着地するので膝への負担を軽減する事ができます。
また重力に逆らって走っているので、心肺機能の向上も見込まれるのです。
脚を着地させるというよりは、「置く」というイメージになり膝の負担軽減になるのですが、その分、下腿の筋肉や走りを操作する上半身の疲労が強くなります。
長距離ランナーに坂道ダッシュ(上り)をおすすめする理由2:筋トレいらず!強い遅筋を取得できる!
先ほども申し上げましたが、足を「置く」というイメージになりますので、体を押し上げる力が強く働きます。ですので下腿を始めとし、大殿筋やハムストリングに高い筋力アップの効果が見込めます。
また走りを操作する上半身の筋力アップにも繋がりますので、余計な筋トレも必要なくなるのです。
特に大殿筋と膝の痛みは密な関係になっているので、大殿筋を膝のリスクを抑えながら鍛えられるのは、膝痛持ちの人には非常に喜ばしい事ではないのでしょうか。
さらに、「走りのフォームの中で」筋力アップを見込めるのも嬉しいポイントです。ウエイト等かけ離れた動きのトレーニングをやり過ぎると、走りとは関係ない筋肉がつく事がありますが、登りの坂ダッシュは、走りの中で強い遅筋を取得できるので、そういった心配もなくなります。
長距離ランナーに坂道ダッシュ(上り)をおすすめする理由3:正しい重心を身に着ける事が出来る
上りの坂ダッシュをすると、普段よりも前に足が着地するので前傾姿勢をとる事になります。
ですので、普段重心が後ろの人は正し位置で足を着地する事が可能になるのです。では、逆に普段から前傾すぎて、足が後ろに流れ過ぎている人はどうでしょうか?
実はその様な人も正しい重心を得る事ができるのです。登りの坂ダッシュは足を普段より前で着地するので、地面の接地時間が長くなります。
ですので、普段から前傾になり過ぎていても足をしっかり巻き込む猶予が生まれ、正しい足の巻き込みが体に染みついてきます。
人間の体は運動の動きにしっかりと対応する能力を持っているので、正しい走りの重心の位置を取得する事ができるのです。
坂道ダッシュ(上り)のデメリットも把握しよう
上りの坂ダッシュにおいてはメリットばかりではありません。デメリットもあります。このデメリットも踏まえた上でメニューにしっかりと組み込む事が重要なのです。主なデメリットは以下の2つ。
①フォームの乱れ
②筋力を上手く扱えなくなる
このデメリットは私が経験した事になるので、もしかしたら違うデメリットがあるかもしれませんので悪しからず。
上りの坂ダッシュでは足の接地時間が長くなります。ですので、坂道ダッシュの走りを脳が記憶してしまうと、接地時間を長くする走りに矯正する力が働き、フォームが乱れてしまう事があります。
また脳と体のバランスが悪くなり、持っているポテンシャルのスピードを出しきる事が出来ない事があります。
どの様なスポーツにも言えるのですが、スポーツは筋力と脳のバランスが整っていなければ、高いパフォーマンスを実現する事ができないのです。
坂道ダッシュ(上り)のスピード感を記憶していて、記録会にでて体に余裕があるのにスピードがでないという事も起こりえるのです。
こういったデメリットから、短距離等、速筋を求めるトレーニングに上りの坂道ダッシュは不向きなのではないのかと私は思うのです。
坂道ダッシュ(上り)はドリルと組み合わせて行うのが効果的
上りの坂ダッシュのメリットデメリットを踏まえた上で、どの様に練習メニューに組み込ませるのがおすすめなのかをご紹介します。
デメリットで一番怖いのは「フォームの乱れ」です。ですので、走りの基本や走りを細分化した「ドリル」と組み合わせて行うのがベストではないのかと感じます。
また、ドリルには股関節を柔軟に操作しやすくするメニューが含まれているので、上半身と下半身を良いバランスの状態にしてくれる効果もあるのもおすすめするポイントです。
ドリルと坂ダッシュをセットで行う事で、自分の正しいフォームを体に染み込ませるつつ、正しい重心の位置を獲得できます。
その結果、自分らしいフォームを崩す事なくトレーニングをする事ができるのではないのでしょうか。
トレーニング時期にも気を付けて!上りの坂ダッシュはシーズンオフの体を作る期間に
いくらドリルで万全な状態であろうと、ハイパフォーマンスを必要とするシーズン中は、脳と体のバランスが乱れやすくなる上りの坂ダッシュをする事はおすすめできません。
トレーニングに違った刺激を入れたい等の理由でシーズン中に入れるのはありだと思いますが、基本的にはシーズンオフの体を作る時期がベストではないのでしょうか。
またシーズンオフになると気温が下がり怪我のリスクも高まります。上りの坂ダッシュは体全体の衝撃がかかるトレーニングではないので、比較的安全な筋トレといえます。
やはり上りの坂ダッシュはシーズンオフがベストではないのでしょうか。
シーズン中は「下り」の坂ダッシュがおすすめ!
上りに対して下りの坂ダッシュは、体にかかる負担が大きく怪我のリスクが付きまといますが、高い筋力アップと、オーバースピードトレーニングの効果を得る事が可能です。
オーバースピードトレーニングとは、自分が思っているスピード以上を体感する事で、今まで以上のスピードを脳に刷り込ませるトレーニングです。
筋力アップの目的もありますが、主な目的は神経系の構築です。スポーツは脳と体のバランスが重要なので、下りの坂ダッシュは、かなり効果的といえます。
しかし体にかかる負担は非常に大きくなります。実施するのであれば、体が出来上がっているシーズン中が望ましいといえます。
どの距離の坂道ダッシュ(上り)が長距離ランナーには効果的?正しく坂道ダッシュをしようじゃないか!
最後に、坂道ダッシュ(上り)を実施する際に効果的な距離をご紹介します。今まで1キロの坂を上ったり、200メートルの坂を上ったり、500メートルの坂を上ったりしましたが、私が体感的に効果があったのは200メートルです。
一番やんなきゃよかったと思ったのが1キロですね。1キロの坂ダッシュは本当にスピード感を忘れます。辛いだけなので、おすすめできません。
ちなみに私は2020年シーズンでは400メートルの坂ダッシュ×2をメニューに取り入れていましたが、これは体への負担軽減の為です。
当たり前ですが距離が延びればスピードが落ちますし、短いとスピードが上がり筋肉の怪我のリスクが高まります。
私は体がまだまだできていない状態でしたので、少し長い距離で坂ダッシュをしていましたが、200メートルの距離を多くやる方が心肺機能を高めつつもフォームの崩れも比較的に少なくおすすめです。
もし坂道ダッシュを取り入れてみようと思うのであれば、メリット・デメリットを把握した上で、効果的な時期と距離を考え取り入れてみてはいかがでしょうか。